「明日のクリスマス、雪降らないかな」
わたしが言うと、
「ええ、寒いじゃん」彼は小さく笑う。

クリスマスを二人で迎えるのは、
今年で四回目。
毎年いろんなことしたけど、
なんだかんだ家が一番、
という安定の結論。

喋ってたら、いつの間にか
眠っている彼。
静かな寝息が、
わたしを夢の中に誘う。

どこまでも広がる雪のうえに、
二人の足跡。
隣には、彼の横顔。
そんなところに笑いじわがあったっけ。
二人で歳をとったんだね。
彼の手には真っ赤なカクテル、
二脚のグラス。

「好きでしょ、いちごのお酒」

じっと見つめてくる。
真剣な顔が面白くて、
でも幸せで。
グラスに口をつけると、
目が覚めた。

テーブルには夢で見たお酒、
koyoiがある。
クリスマスに、と買ってきた
デザートカクテルだ。
いちごをかじったときのような、
甘酸っぱい香り。
飲んだことないのに、
知っている。

「今日はきっと雪だね」

彼はまだ夢の中。